こころの展覧会
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お盆最終日。
朝から雨が降り始めていた。雷さえ鳴り響き、夕方になっても、勢いは弱まることはなかった。皐月、松詠、柊、木蓮の4人は仕事のためにいなくなってしまったため、藍と椿姫の2人だけで送り火を行った。
「藍、先生にしっかり自己紹介をしておけ」
と、突然椿姫は言った。
「自己紹介…ですか?」
「なんでもいい」
そう言われ、藍は墓標の前に座る。
「えっと…こんばんは。麻生藍と言います。今、椿姫さんのところで大変お世話になっております。みなさんとてもいい人なので、そんな人たちの先生はとてもいい人だったんでしょうね。僕もお会いしてみたかったです」
「いい人か……その枠の中には私も入っているのか?」
「もちろんです。椿姫さんは優しい人ですよ。僕は椿姫さんに恩があります」
ハッキリと言い切った藍。
それを聞いた椿姫は、無意識に一歩下がっていた。
「どうかしました?」