こころの展覧会

   ☆



お盆最終日。
朝から雨が降り始めていた。雷さえ鳴り響き、夕方になっても、勢いは弱まることはなかった。皐月、松詠、柊、木蓮の4人は仕事のためにいなくなってしまったため、藍と椿姫の2人だけで送り火を行った。

「藍、先生にしっかり自己紹介をしておけ」

と、突然椿姫は言った。

「自己紹介…ですか?」

「なんでもいい」

そう言われ、藍は墓標の前に座る。

「えっと…こんばんは。麻生藍と言います。今、椿姫さんのところで大変お世話になっております。みなさんとてもいい人なので、そんな人たちの先生はとてもいい人だったんでしょうね。僕もお会いしてみたかったです」

「いい人か……その枠の中には私も入っているのか?」

「もちろんです。椿姫さんは優しい人ですよ。僕は椿姫さんに恩があります」

ハッキリと言い切った藍。
それを聞いた椿姫は、無意識に一歩下がっていた。

「どうかしました?」

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