こころの展覧会
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椿姫が自殺をはかってから5日が経った。柊に連れられ、お見舞いに行った藍は面会を断られた。やはり誰にも会いたくないのだそうだ。
仕方なく二人はお菓子を買って、家へ帰った。
「残念だったね」
縁側でくつろぐ柊は、優しい笑顔だった。
その笑顔は、藍をひどく安堵させた。
「そうですね。でも、柊さんと皐月さんには会ってくれるんですよね?」
「そうだね。私は一応、ここの年長者だからね。皐月は、ちょっと特別だから。まぁ、いつも通りだから安心してよ?」
「はい、ありがとうございます。皐月さんが特別っていうのは、恋人だからですか?」
「恋人…とは違うかな。椿姫はそう言った対象をつくらないから」