こころの展覧会
藍は庭にある鳳仙花の花が咲いているのを見つけ、スケッチブックを取り出した。
ピンピンと伸びた葉の付け根に、互いに重なり合い、フリル状に波うった白い花をつけている。
葉に隠れる様に咲いた花は、下向き加減で、どこか寂しげに見えた。
藍の描いた鳳仙花の花は、何も近づかせないような雰囲気を持った絵になった。
その絵に、椿姫を重ねていた。
―――どうしてあなたは、心を閉ざしてしまったんですか?
どうして「幸せ」から逃げようとするのですか?
あなたの悲しみを知りたいです。
和らげてあげたいと思うのです。