こころの展覧会
温かく、受け入れてくれる腕は今はない。
でも、その腕に受け入れられる日が来るのを今は信じられるのだった。
次の日の朝。
朝食の片づけをしていた藍に、松詠が話しかけた。
「終わりそうか?」
「はい。何か用事ですか?」
「姫に言われた。今日の練習にお前を連れて行けとな」
淡々と話す松詠。
いつもと変わらない仏頂面。
「練習?」
「そうだ。ついてこい」
訳が分からないまま藍が連れてこられたのは、弓道場だった。藍は弓道場の隅に座るように言われて座った。そのまま、松詠は行ってしまった。
藍はどうすればいいのかわからなかったが、
パアアァァンッ
矢が的に刺さる音。
その音が、困惑する気持ちを一気に吹き飛ばした。
そのすぐ後、袴に着替えた松詠の姿を見つけた藍は、その姿に見入った。
弓自と合わさった体躯が、綺麗だった。
弓が引かれ、弓が円を描くようになり、綺麗なだけではなく、荘厳さがあった。