アタシのこと、スキ?
廊下で会ったとき、

ものすごく怖いイメージしかなかった。

猫背で、指輪とかつけてて、髪もワックスかかってたし、

ズボンダボダボだし、ポケット手、入れてたし・・・・

恋なんかしたことないアタシは、

もちろん男の子とも関わりがあるはずがない。

海は“男の子”っていうより“男”っていった方があってるかな。

そんなアタシにとって、海はただ

恐怖でしかなかったの。

そんな海に笑顔で近づいてく愛叶音も

意味がわからなかった。


そして、愛叶音と話を済ませ、海が帰ろうとしたとき、

海の、何もかもを見透かすような瞳と、

アタシの、恐怖で表されたかのような瞳の、

二つの視線が、重なった―――。

視線が重なっている間、逸らすこともできず、

時が止まったみたいに、動けなくなっていた。


そして、一瞬小さく笑った海は、

他の女の子たちがいる、あの教室に、

戻って行ったね。










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