アタシのこと、スキ?
すると海は、

アタシの下敷きになって、背中を床に付けている格好から、

腰を曲げて、左足を伸ばして、右足を軽く曲げ、

円のような形を足でつくり、

その円のなかに、アタシを座らせる。

「やっとオレの目ぇ、ちゃんと見てくれたな」

海はまた、空気のように笑うと、

話を続けた。

「オレはからかってなんかない」

さっきまでの表情とは違って、

真剣な表情になったのが、こんなアタシでもわかる。

「言っとくけど、初めてホレた女だからな」

真剣な表情で、優しい瞳をしながら言ったね。


瑠梨は、黙ったまま、オレの瞳を見ていたけど、

我に返ったかのように、顔ごとオレから逸らした。


なんか、時間が動きだした気がしたの。

夢から覚めたみたいに。

だから、とっさに海から、視線を逸らしてしまったの。







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