アタシのこと、スキ?
早く下りなきゃ、

海が離れていく・・・。


そんなこと思ったわけじゃないけど、

一段、

また一段と、

階段を下りているアタシがいたの。


そして、やっと最後の一段を、

つま先からゆっくり、下りた。


目の前に広がるのは、

公園というより、

草が風に吹かれて揺れている、

空の広い、野原みたいなところで、

おっきな、

おっきな木が、一本、

堂々とたっている。

海みたいな木が、一本。


そして今、その木の隣に、海がいる―――。

「来い」

微かにそう聞こえた。









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