アタシのこと、スキ?
「ねぇ海?」

「次はなんだぁ?

やっぱ言ってって言われてももー言わねーぞ」

「海。

アタシ、海がスキだよ―――。」

海の黒く澄んだ瞳を見て、アタシは言った。

何も考えずに言った。

さっきまで悩んでいたのが嘘のように、

スッキリした気持ちになった。

「マジで言ってる?」

「こんな嘘つくほど器用じゃないよ」

海との時が、

ここで終わるか。

海との新しい時が、

進み始めるか。

「オレは、」

なんて言われても、海に“スキ”を伝えたこと、

後悔しないから。

「お前がスキ」

新たな時間が、

動きだした――。

「本当?」

「マジ」

「じゃあ、もう一回聞くね。

アタシのこと、スキ?」

海はアタシにグイっと顔を近づけた。

そしてこう言ったの。





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