アタシのこと、スキ?
「瑠梨・・・・・・・?」

「?  なんでアタシの名前知ってるの?」

「あ、いや・・・」

瑠梨は優しい瞳で、

オレを包み込むように笑った。

そして、傘を閉じて、オレの隣に座った瑠梨。

「アタシね、今日引っ越すんだぁ。

病院から退院したばっかなのにだよ?

もうすこぉしで、さんねんせいだったのになぁ。

でもねぇ、悲しくないの。

ここで、十年も過ごしたのに、

思い出がぁないみたいに。

だから悲しくないんだぁ」

その話をきいた、オレの心が悲しくなった。

「なんで彼方は一人なのぉ?」

「・・・・わからない」

「瑠梨ーー!行くわよーー」

遠くから、女の人の声が聞こえた。

「はぁーーい。

じゃあね。お母さんがもう行くって。

また、会えるといいね」

「・・・・・・・・・・・あぁ」

そう言って、瑠梨は傘を置いて走りだした。

「おーーい!」

オレは瑠梨を引き止めた。

「傘!」

すると瑠梨はこう言った。

「次会った時に返してねぇーー!」

そう、言った。









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