アタシのこと、スキ?
「いっただっきまーす」



そして、夕食を食べ終わり、

お風呂に入ろうとした。

「お風呂わいてる?」

「うん。わいてるわよ。

ねぇ瑠梨」

「ん?」

「さっきの、その彼氏さんってお名前は?」

「あぁ、海だよ!」

「そう」

アタシは何も知らなかった。

その時のお母さんの表情の意味も、

海が抱えていた悩みも。

ただ、幸せにひたっていたの。

もしこの時、気づくことのできない海の想いを知れたなら・・・・

もし知れたなら、

アタシたちは、どうなっていましたか?

もっと笑えていましたか?

もしそうなら、

なんで誰も教えてくれなかったの?

それで、アタシの幸せを願っていたの?

それが、アタシの幸せだと思っていたの?

でもその優しさは、いらなかったよ―――・・・

優しさで、空回りすることだってあるんだよ?

優しさで、傷つくことだってあるんだよ?

でもそんなことも、この時のアタシは、

全く知らなかったんだ。

知ったのは、これから何何も先だったの・・・・


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