アタシのこと、スキ?
左に電信柱。

右に車。

はさまれたアタシ。

海はアタシのサイドに両手をつく。

海にもはさまれた。

こんな状況でも海に見とれてしまう。

そして、海の顔が近づいてくる。

そして二人の唇が重なった。

でもすぐ離れた。

「なぁ。これで終わりじゃねぇぞ?

覚悟しとけ」

そう言って、また顔を近づける海。

アタシはギュッと目をつぶる。

また二人の唇が重なる。

そして、海の舌が入ってきた。

横からは、電信柱と車に隠れて見えない。

なにも喋れない。

海の舌から逃げようとするが、

今のアタシみたいにすぐに捕まる。

そして、やっと離れた。

「度胸試し、どーだった?」

息を整えるアタシ。

「苦しかった」

ハッキリ言った。

「じゃー今度練習な」

「練習?」

「おぅ。ちゃんと息ができるように」

そして海はまたニコッと笑った。


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