危険なヒーロー
最悪、最悪、最っっっ悪!!
自分の不運を呪う気持ちと、不良どもへの
ムカつきが頂点に達したあたしは、
その場から、逃げたいあまりに

不良の腹を、

思いっきり

殴った。

「・・・、ノヤロォォオ!!」
や、やば、追いかけてきた!!
あたしは、死に物狂いではしった。

逃げなきゃ、
逃げなきゃ、
逃げな・・・「へぶっ!!」「うぉっ」

げっ、ぶつかっちゃった。
今日、人にぶつかるの何回目・・・?

「ごめんなさい、あのっ、あたし急いでて」

・・・あ、れ?
この人、どこかで会ったことある・・・?
いや、っ絶対知ってる。

「だ、大丈夫ですか?」

「あー、大丈夫だから。それより、」
「へ・・・?」

「うしろ」

うしろ・・・?
あたしは、疑問に思いながらふりむいた。

「まて、ゴルァァアア!!」
ギャー!!
そ、そうだ。追いかけられてたんだ!!
あたしは、
走り出そうとした
その時、

「待って」
は・・・?
「む、無理!!あたし、殴られるんだから!!」
そう言っても、男は引くどころか、
あたしの手を掴んだ。

「大丈夫だから」
大丈夫って・・・なにが・・・
そう思った時にはもうおそかった。
か、かこまれたぁぁあ!!
あたしは、その場にしゃがみこんだ。

もう終わりだ
まさかぶつかったのが原因でこんな事に
なるなんて。
あたしは、きつく瞼を閉じ
殴られるまでの
カウントダウンをはじめた。
のに、

・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・。

あ、れ?
殴られないな、
そう、いつまでたっても不良どもの拳が
襲いかかってくることはない。


あたしは、おそるおそる瞼を開けた。

「っ!?」
え、ちょっと何これ。
あたしは、目をうたがった。

「すいません、彰悟さん!!」

なんで、不良たちが頭下げてんの?






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