満たされしモノ
「いい加減に止めておけ」


いつまでも続くかと思われたプレイだったが、穴夫が颯爽と飛び出し、鞭を掴んだ。


なんという動体視力だ……


「堀……。貴様、私の邪魔をするとは良い度胸だ。今日一日、座れなくなるまで鞭で打たれる覚悟はあるんだろうな?」


閂は機嫌を損ねていた。アイシャドーで黒ずんだ瞳で睨まれると迫力がある……


だが、穴夫はたじろぐ様子を全く見せない。


「ふざけたことを吐かすな。大体、誰の了解を得て刀矢の尻を叩く。使い物にならなくなったら、それこそ万死に値するぞ」


……この男にとって、僕の価値は穴だけなのか……


自分の周りが変人だらけという悲しさもあって、ホロリと涙が出た。


そんな僕に活を入れるためか、不知火が僕のお尻を手で叩いた。


「ピャウッ!!!!」


「ピャウッ、ってそんな犬みたいな声を出さないでほしいデス。まったく……、この節操なし」


言うだけ言って、不知火はそっぽを向いた。


「なんで僕が責められてるの……?」


良く分からなかったが、落ち込むには充分な仕打ちだった。


反して、機嫌を悪くしていた閂は、僕のうなだれる姿を見て笑みを取り戻していた。


本当にドSな女だ。


不知火と穴夫が嫌っているのも頷けるというものだ。


 
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