危険人物彼女。




――――次の日


僕は昨日と同じカフェに来た。

「いらっしゃいませ。」

ぱっと顔をあげると
昨日の彼女がいた。

「あ…昨日の。」

彼女は笑って僕を見た。

「昨日はほんとありがとうございました。」

「いいえ。それより面接どうでした?」

「お陰さまで採用されました!」

「ほんとに?よかったあ!」

彼女はほっとした顔で僕を見た。


「じゃ、採用祝いってことで
 あたしからケーキ、サービスしときますね。」

そう言って注文した
アイスコーヒーと一緒に
いちごの乗ったショートケーキを
運んできてくれた。


「そんなのいいのに…」

「気にしないでください。
 あ、ガムシロ入れ忘れちゃだめですよ?

 それじゃ。」

そう言っていたずらっぽく
彼女は笑ってかるく頭を下げ
カウンターに戻ろうとした。




僕は、このまま終わりたくなくて…

「…あ…あの!」

「…はい?」









「僕…昨日きみに一目惚れしたんです。
 よかったら…」

そう言って続きを言おうとした瞬間


「あたしもです。」






そう言って笑った。












これが僕らの始まりだった。

春を目前にしたある冬の出来事だった。





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