危険人物彼女。




「はい。」


一人の生徒が立ち上がり
舞台上の演台まで歩いた。

「…愛?」

僕は頭が混乱していた。
単なる同姓同名?
何がなんだかさっぱりだった。



「全校生徒のみなさん、
 おはようございます。
 楽しい春休みは過ごせましたか?
 今日からは新年度のスタートです。
 明日に迫った入学式では
 200名ほどの新入生を迎える
 こととなります。
 上級生として気を引き締めて
 がんばっていきましょう。」

ニコっと笑い軽く会釈をすると
会場中から盛大な拍手が響き
あちらこちらから"あいー!"
とか"篠宮ー!"などという
声援さえも聞こえた。




「そんなに人気なのか…?」

ぽつりと漏らすと、隣に居た先生が
ひそひそと耳打ちをした。

「なんでもあの子、学年トップで
 成績オール5の秀才らしいですよ。
 しかもあの容姿でしょ?
 その上、去年はいじめ摘発したり
 警察から感謝状貰ったり
 廃部なりかけの部活を立ち直したり
 なんかいろいろと凄い人助け
 やってるみたいで…
 噂では桐ヶ丘のジャンヌダルク
 なんて言われてるらしいですよ。」



「へ…へぇ。」




僕は圧倒された。
あれがまさか愛なんて…








「それでは各クラスの担任の先生の
 発表に参りたいと思います。
 まずは2年生から――



 2-A…伊沢啓先生。」


「へ!?」

スポットライトが当たり
全校生が一斉にこちらを見た。










僕は突然のことで
唖然としてしまった。



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