ヘタレ船長と二人の女海賊
中にはそれに嫉妬する海賊もいる。

「ケッ」

酒場の後ろの席の方で声がした。

「いい気になってんなよラカム。てめぇなんざ女二人の後ろに隠れてコソコソしてる、腰抜けじゃねぇか」

それは最近海に出たばかりの駆け出し海賊。

これから一旗揚げて成り上がろうとしている、野心の塊だった。

しかし、喧嘩を売る相手は選ばなきゃな。

何故なら。

「あら、うちの船長に何かあるのかしら?」

俺を侮辱する奴には、すぐに他の船員たちが反応するからだ。

そいつはあっという間に囲まれた挙句、アンのピストルをこめかみに突きつけられていた。

「い…いや…すまねぇ…ちょっと口が過ぎた…謝るよ…」

ビビッて詫びを入れる海賊。

その台詞を聞きながら、俺は気分よく葡萄酒を呷った。

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