ヘタレ船長と二人の女海賊
そんな光景を見ながら。

「ラカム」

歩み寄ってきたアンに気づく。

「よぉアン、ご苦労だったな」

「あんたもね」

マストに寄りかかり、彼女は微笑を浮かべた。

「バハマの酒場で巡り合ったのは、運命だったのかもね」

アンは柄にもなくそんな事を言い出す。

「ラカムはただのヘタレじゃない…本物の悪党の匂いがする…私の嗅覚はやっぱり間違いじゃなかったわ」

そう言った彼女の表情は小悪魔的な微笑と共に、この上ない信頼の色が窺えた。

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