ヘタレ船長と二人の女海賊
俺は軽いパニックに陥っていた。

ここまで圧倒的な強さで海賊行為をこなしてきたラカム一味にとって、初の危機。

そしてここまでに築き上げていた自尊心が粉々に砕かれた瞬間。

こういう時、精神の軟弱さが露呈するものだ。

たちまち冷静さを失った俺は、素人並みの行動に出る。

素早く踵を返し、船底の船倉へと逃げ込んだのだ。

今思えば間抜けな行動だ。

既に海兵達に、船に乗り移られているのだ。

船倉に逃げ込んだからといって何になる?

篭城した所で、船ごと連行されてしまえばそれまでだった。

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