ヘタレ船長と二人の女海賊
初期の航海では遭難や難破、敵からの襲撃、壊血病や疫病感染などによって、乗組員の生還率は二割にも満たないほど危険極まりなかった。

しかし遠征が成功して新航路が開拓され新しい領土を獲得するごとに、海外進出による利益が莫大である事が立証された。

健康と不屈の精神そして才覚と幸運に恵まれれば、貧者や下層民であっても一夜にして王侯貴族に匹敵するほどの富と名声が転がり込んだ。

こうした"早い者勝ち" の機運が貴賎を問わず人々の競争心を煽り立て、ポルトガル・スペイン両国を中心にヨーロッパに航海ブームが吹き荒れるようになった。


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