ヘタレ船長と二人の女海賊
何だ、そんな事か。

船員達の動揺を他所に、俺はキャラコの帽子を被り直した。

俺ぁ海賊としては腕っぷしも弱いし、戦闘だって得意じゃねぇ。

だが自慢できる事が二つある。

一つは悪知恵。

狡猾で小賢しくて頭の回転が速いって、ガキの時分から有名だった。

そしてもう一つは船の操舵の腕前。

これは単に船の扱いがうめぇって事に留まらず、船そのものに詳しいって事だ。

…俺ぁ何も、海賊稼業から足を洗う為にレンジャー号を捨てようって言ってる訳じゃねぇ。

ちゃんとした理由があって、この船を廃棄する事にしたんだ。

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