ヘタレ船長と二人の女海賊
ご多分に漏れず、俺もその女に興味を持つ。

葡萄酒の瓶とタンブラーを片手に女の席に近づき。

「一杯どうだい?」

女の手にしたタンブラーに葡萄酒を注ぐ。

「…あら」

俺に気づいた女が、微笑を浮かべた。

笑うと更にいい女だ。

「見かけねぇ顔だな、あんた。バハマの人間じゃねぇのかい?」

木組みの椅子を引き摺り寄せ、女に密着しそうなほど近くに座る。

それでも彼女は嫌な顔一つしなかった。

「サウスカロライナ州のチャールストン近郊に住んでたんだけどね…そこで知り合った三流海賊と駆け落ちして、最近バハマのニュープロビデンスに移り住んだのよ」

「へぇ…」

俺は葡萄酒を呷る。

「その三流海賊は?」

「あまりに三流過ぎたんで捨ててやったわ」

女はコロコロと笑った。

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