ヘタレ船長と二人の女海賊
「俺はジョン・ラカムってんだ」

名前を告げると、女の瞳がキラキラと輝く。

「あんたがあの『キャラコ・ジャック』?」

「ああ、ヘタレで有名な…な」

笑いながら俺はタンブラーを傾けた。

「ヘタレなもんですか…わかってない奴らはあんたの事を悪く言うけどね…私はあんたの事、高く買ってるのよ?」

興味津々といった様子で、女はしなだれるように頬杖をつく。

「殆どの海賊どもは力押しで獲物を襲うけど…あんたは違う。無駄な争いを起こさず、スマートに略奪をやってのける…腕っぷしだけの馬鹿とは違う、頭の良さを感じるわ」

「買い被りだよ…」

「そんな事ないわ」

女は俺に腕を絡めた。

< 47 / 161 >

この作品をシェア

pagetop