ヘタレ船長と二人の女海賊
もう散々飲んでいい具合に出来上がっているくせに、男はそんな事を言う。

「やだね」

俺に向けていた甘えた瞳から一転、女は雌豹を彷彿とさせる鋭い眼光を男に向けた。

「酒が飲みたきゃ向こうの隅で一人チビチビやってな。私はあんたみたいなむさ苦しくてデブで臭そうな男は嫌いなんだよ!」

断り文句にも限度があるって事を、この女は知らないらしい。

言うに事欠いて『むさ苦しくてデブで臭そうな男』とは。

全部当たっているだけに始末に終えない。

男も自覚があったらしく。

「何だとてめぇええぇえぇっ!」

近くにあった木組みの椅子を蹴り倒して激昂した!

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