ヘタレ船長と二人の女海賊
帆に目一杯風を受け、船は速力を上げる。

スループ船はスピードの速さが売りだ。

大型の帆船とは比べ物にならないくらいの加速力を誇る。

少々距離が離れていようが、追いつくのはたやすかった。

船の舳先に立ち、俺は顔だけを船員達に向ける。

「野郎ども!準備はいいか?」

「おぅ!」

俺の呼びかけに、威勢のいい声が返ってくる。

ピストルを握るアン、手斧やレイピア、舶刀を構える船員達。

襲撃の準備は整っている。

ラカム海賊団、復帰後の初仕事だ。




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