ヘタレ船長と二人の女海賊
「決闘の事よ」

メアリが説明する。

「あの青年は…決闘相手の船員の力量にまだ及んでいないわ。向上心は認めるけれど、海賊としての強さはまだまだ…」

「ええ、そうね」

アンも頷く。

「このまま決闘すれば、青年は間違いなくあの船員に負けるわ…確か海賊の決闘の決着は、どちらかが死ぬまで…だったわよね?」

「…ああ」

椅子に座ったまま、俺は返事した。

男が一度決闘と口にし、それを相手も受けたのだ。

完全なる生死以外、決着とは認められない。

俺はヘタレ船長だが、海賊としての掟にはこだわっていた。

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