ヘタレ船長と二人の女海賊
アンもメアリも押し黙る。

特にメアリはあの青年の事を気に入っている。

その表情は深刻だった。

「おい、メアリ」

俺は彼女に釘を刺す。

「くれぐれも決闘に水を差すような真似だけはするなよ?もしそんな真似してみろ、如何にお前でも、ラカム海賊団の船長権限で、俺はお前を罰しなきゃいけねぇ…それが掟だ」

「……わかってるわよ」

クルリと背を向け、メアリは船長室を出て行く。

「…ねぇラカム」

アンが哀願するような声を出すが。

「駄目だ」

俺はピシャリと跳ね除ける。

ヘタレでも腰抜けでも、俺は海賊で船長だ。

ケジメはつけなきゃならねぇ。

…ふと部屋の外を見ると、雷雲が海上を覆い始めている。

今夜は嵐になりそうだった。

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