ヘタレ船長と二人の女海賊
甲板に、二人の人影が見えた。

降りしきる強い雨に打たれるのも気にせず、両者は向かい合っている。

一人は、明日青年と決闘の約束をしている船員。

そしてもう一人はメアリだった。

…二人が甲板にいる事に気づいているのは、どうやら俺だけらしい。

そして二人も、俺が見ている事には気づいていない。

「何の用だメアリ。こんな雨の中で」

船員が言う。

「まさか、明日の決闘を中止にしてくれって話じゃねぇだろうな?」

「……」

まさに図星を突かれたらしく、メアリはバツの悪い表情になった。

「そこを何とか…駄目かしら?」

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