ヘタレ船長と二人の女海賊
「駄目だね」

船員はメアリの要求を突っぱねた。

「あのガキには海賊の世界の恐ろしさって奴を思い知らせてやらなきゃならねぇ。力こそが全ての海賊の世界で、生意気に口答えするとどうなるのか…体にたっぷり刻み付けてやらなきゃな」

「そこを何とか…」

「駄目だ!」

メアリは下手に出るが、船員は折れる様子がない。

それどころか、普段偉そうな態度をとるメアリが自分のご機嫌取りをしている様子を楽しんでいる節すらある。

彼女もそんな船員の傲慢ぶりには気づいていたらしい。

突然。

「あっそ…なら仕方ないわね」

メアリは腰に下げたカットラスの柄に手をかけた。

「交渉決裂。ここからは実力行使よ」

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