ヘタレ船長と二人の女海賊
横薙ぎに振られたメアリの剣。

しかしその刃は寸止めで、船員の脇腹スレスレの所で止められた。

「ひ、ひぃいぃぃっ!」

うろたえたように飛び退く船員。

だが諦めずに、今度は剣の切っ先で突きかかる!

メアリはこの突きを、円の動きの剣捌きで払い落とす。

そして体勢の崩れた船員の喉元に、切っ先を突き立てる!…と見せかけ、またも寸止め。

「これで貴方は二度死んだわよ?決闘なら二回分の決着がついてるわね」

冷ややかな眼差しで船員を見据えるメアリ。

とても女の瞳とは思えない。

冷酷な、一端の海賊の眼だった。

「悪いけど」

完全に船員の動きを制したメアリ、そのカットラスがゆっくりと振り上げられる…!

「眠ってちょうだい」

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