てるてる坊主の恋

「これ、あげる」

「、え?」

私が差しだしたのは、サインペンがちょっぴり滲んでしまった赤いリボンのてるてる坊主。

ティッシュで作ると破けそうだったから、わざわざ布を買って来て作ったものだ。


「どういう意味…」
「もういらなくなったから!」

「へ?」

さっきの真剣な表情とは打って変わって、キョトンと間抜けな顔を見せる隆太。

その表情すら愛しいと思えるんだから、私はもう、この恋に溺れてる。



「じゃぁね!」

そう言って今度こそ隆太の腕からすり抜ける。

「あ、ちょっ」と後ろから焦った声が聞こえたけど、私の足は止まらない。

あんなに怖かった暗闇も、今じゃ私を祝福してくれている気がする。




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