遠目の子鬼
それを見てなっちゃんはゆっくりと右手の小指を差し出した。


僕は自分で自分に落ち着けと言い聞かせながら、自分の右手の小指を差し出し、なっちゃんの小指に絡めた。


「ゆ~びき~りげんまん、嘘付いたら…」


僕は何故か、とてもいけない事をしている様な気に成った。


なっちゃんと僕だけの『秘密』。


秘密と言う単語の持つ魔性が僕を高揚させた。絡めた小指が少し震える。そして
屈託の無いなっちゃんの微笑み。


――しっかりしろ保孝!
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