遠目の子鬼
僕は、益々子鬼にめられてる様な気がして又、無意識に謝ってしまった。


しかし、子鬼は「にっ」と笑うと


「よし、気に行った」


とぽつんと一言呟いた。


「え?気に入ったって――」


「ああ、気に入ったね。お前は人間だけど全然偉そうにしない。俺達と仲良くやっていけそうだ。だから今日から仲間だ」


子鬼はそう言うと右手を僕に向かって差し出し握手を求めてきた。


僕はそれに答える事にちょっと躊躇った。


なぜならば、この目の前に居る子鬼の正体が全く持って不明だからだ。


不用意に仲良くして良い物だろうか?


もし、一生取りつかれて酷い目に遇うんじゃ無いかと不安な事ばかり、考えてしまう。
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