遠目の子鬼
保孝が結婚式で友人代表みたいな事を僕に向かってぼそぼそと呟いた。


今度は僕が暗くなりそうだった。頼むから許してよ英二。そう願わざる御得なかった。

         ★

ブラスバンドの全体練習。


思った通り英二は極めて乱調で何度も曲を止められてしまう。


そして個人練習の時間。


今日はなっちゃんは音楽室で練習。僕は何時も通り又兵衛と一緒に練習。


「ねぇ、又兵衛…」


「うん、どうした?」


「昨日の事なんだけど、どうしたら良いと思う?」


「昨日の事?ああ、あの、英二とか言う奴に保孝と夏子がふたりっきりで居る処を見られたって事か?」
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