遠目の子鬼
「ねぇってば」


僕はそう言いながら、お姉ちゃんの肩を、とんとんと叩く。


「――あ、え?何?呼んだ」


お姉ちゃんは突然話しかけられて、ちょっと驚いた様子を見せながら、僕の方に振り向いた。


「うん、呼んだ」


僕はちょっと遠慮がちに答える。


「何、どうしたの?」


「お姉ちゃん……な人…」


「え?何よ、聞こえないわ、はっきり言いなさい」


僕の煮え切らない態度に、お姉ちゃんはちょっといらついてるみたいに見えた。


「あのさ、お姉ちゃん…好きな人…居る?」
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