遠目の子鬼
「ふたりっきりで教室に籠ってた事を、皆に公表しちゃったら?割と面白い事に成るかも知れないわよ」


「え~、そんな事出来ないよ」


「何よ、夏子さんだってあんたの事、まんざらでも無いって思ってるんでしょ?だったら、この事は既成事実って事にして、ほんとの交際に持ち込んじゃえば良いじゃ無い。事実と思い込みにギャップが有るから、あんた悩んでるんでしょ?」


やっぱり相談する相手を間違えた様な気がしてきた。


お姉ちゃんは、お祭り好きだって言う事を考慮するべきだった。


僕の、この相談も、イベントの一つとしか捕えて居ないんだろう。


「やっぱり、いい。自分で考える」


僕はそう言ってソファーから立ち上がると自分の部屋に向かって歩き出した。

         ★

宿題を片付けながら、僕は窓の外にぽっかりと浮かぶ月を眺めた。
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