遠目の子鬼
突き刺さる様に鋭く冷たい光が神秘的な夜の世界を照らし出す。


僕は、はぁと溜息をついて椅子から立ち上がり、窓の外に目をやった。


そして、ふと思い出して鞄の中から楽譜を取り出して、それを眺めて見た。


そして、楽器を持って居るつもりで指を動かしながら目で楽譜をなぞって行く。


又兵衛との練習の成果だ。


はっきりと曲をイメージする事が出来る。これならきっと、ソロ演奏も上手く行く。


今迄、こんな事、確信出来た事なんて無いのに…


何事にも少し自信が持てずに、ここ一番で二の足を踏んでばかりだったのが、今度は上手く行きそうな気がした。
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