遠目の子鬼
根拠は無いけど、そう思えた。

         ★

昼休み。


英二は相変わらず僕と話してくれない。


いい加減仲直りしたいんだけど、彼の心の傷は深い物が有るらしく中々機嫌を直してくれない。


ここは、又兵衛に言われた通り、何も言わずに、そっとしておいた方が良いのかも知れない。


「保孝君」


不意に声をかけられて、僕は反射的に声の方向に振りかえった。


そこにはなっちゃんの姿。


「え?」


僕は妙に間の抜けた返事をなっちゃんに返した。
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