遠目の子鬼
「ほら、どうしたんだよ。別に取って食ったりしないぜ」


子鬼は再び「にっ」とわらう。


「え――う、うん」


僕は、おずおずと右手を差し出しおっかなびっくり子鬼と握手した。


その感覚は人間と変わりない。


ちゃんと温かいし、ちょっと長めだけど爪だってちゃんとある。


「よーし、これで、俺達は仲間だ」


子鬼は腰に手をあてて、仁王立ちする。


「う、うん、仲間だ――」


僕も子鬼に続いて彼を仲間だと認めた。


そして、子鬼は屈託の無い笑顔で、僕に訪ねた。


「おい、そう言えば、お前、名前は何て言うんだ?俺の名は『又兵衛』だ」


「ぼ、僕は保孝、中野保孝だよ」
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