遠目の子鬼
「下手じゃ無けりゃいいじゃ無い?」


「いや、場合によっては、手がつけられないほど下手な方が良い事だってあるさ」


「そんな…」


「いいか、保孝。お前は任されたんだ。だからここは、自分の世界を見せつけなきゃいけないんだ。こんな中途半端じゃぁ
期待に応える事なんて出来っこない。もっと一生懸命練習せにゃならん、分かるか?」


又兵衛は、何時になく真剣な表情で僕にそう言った。


任された…そう、僕は信頼されて、このパートを任されてるんだ。


だから一生懸命練習して期待に応えなきゃならない。


当り前の事じゃ無い。


だから僕は又兵衛とこうやって練習して、技術も向上して先生にもたまに褒められる様に成って…何がいけないの又兵衛?真剣さなら誰にも負けないつもりだし、その分の努力だってしてる。
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