遠目の子鬼
野球場は近くの大きな公園の中に有る。


僕達の学校から歩いて30分程の場所に有る。


中途半端に近いので、応援には徒歩で向かう事に成る。


公園の池に浮かんだボートに乗る人達を横目に見ながら春には綺麗な花をつける桜並木を楽器をもって歩くのだが、こういう時、つくづく思う。もう少し小さな楽器なら楽なのになと。


ユーフォニュームは中途半端に大きい。チューバみたいに誰が見ても大きい楽器の運搬は、手が空いている人が手伝ってくれるから意外と楽そうだ。


でもユーフォニュームは…と、文句を言ってみても仕方が無い。こういう形の楽器なんだから。

         ★

僕達は試合が始まるのを、野球場近くの木陰で待つ事に成った。演奏会の時もそうだけど、リハーサルをちょこちょこっとやった後、ぽっかりと何もしない時間が出来る事が有る。


僕は、その時間が意外と好きだ。のんびりと平和に流れる時間。それが何とも言えない気分にさせてくれる。
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