遠目の子鬼

4) 僕と僕みたいな

今度は心臓が凍った。瞬間急速冷凍と言う奴だ。


「――え?」


僕はなっちゃんを見詰め、ぽつんと呟いた。


「うん、友達がね、保孝君が好きだって。おんなじ部だから、なんとか話が出来ないかって頼まれたの」


一気に心がしぼんでいく気がした。


そうだよな…漫画じゃぁ無いんだから、そんなに上手く行く筈が無い。


やっぱり、なっちゃんは、僕が好きなんじゃなくて『僕みたいな人』が好きなんだ。


「あ、そ、そお…」


やっとの思いで返事をする。


なっちゃんは、あくまで明るい表情を僕に向ける。


その表情は、今照って居る太陽の明るさにも匹敵する位の明るい表情だった。
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