遠目の子鬼
でも、僕の心は次第に曇り始める。その時だった。


「お~い、全員集合、行くぞ~」


顧問の先生が皆に向かって叫ぶ声が聞こえた。それに向かって皆が振り向く。


「じゃぁ、考えといて。良い返事、期待してるわ」


なっちゃんはそう言うと手を振りながら笑顔を残して、僕の前から立ち去った。


心に隙間風が吹く…そんな感じがした。夏が終わった様な虚脱感。

         ★

野球の応援には全然身が入らなかった。


打撃戦を制して、僕達の学校は勝利して全国大会進出を果たしたのだが、そんな事、どうでも良い事に感じられた。
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