遠目の子鬼
憧れと、ちょっぴりの挫折

1) いっぱいいっぱい…

心臓の音が頭の中で、どくどくと響く。


汗が背中を伝って流れおち、額にもうっすらとにじむのがわかる。そして、口がからからに乾く、軽い眩暈も…


「な、なっちゃん!」


言葉が出た、これは奇跡に近い。



なっちゃんのまっすぐな視線。


何時もは心地よい、いや憧れの視線な筈なのに今はまさに突き刺さる。


心を射抜かれる様名視線に僕は耐えられなくなって、ちょっと横を向く。


「ち、違うんだ…あ、あのね…」


どくどくどく…なんだか眩暈までしてくるくらいのどくどく…
< 145 / 274 >

この作品をシェア

pagetop