遠目の子鬼
だから、気合いも入らなけりゃ、やる気も出ない。


僕は授業中からぼうっとしてて先生に当てられても訳の分からない事を答えて、ブラスバンドの全体練習でも、なんだか意味不明の演奏をして何度も曲を止められ、散々な一日を過ごして、又兵衛との練習に臨んでいたのだ。


「ねぇ…又兵衛…」


「ん?なんだ、どうした保孝?」


「あのね、又兵衛は女の子にふられた事って有る?」


僕の質問を聞いて、又兵衛は、物凄く複雑な表情をして見せた。


「ふられた事?」


「うん、そう、ふられたこと…」
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