遠目の子鬼
又兵衛は出を組んで頭上を見上げちょっと考え込んでから、ゆっくりと口を開いた。


「…まぁ、俺も男だ。ふられた経験なんざ山の様に有るさ。どうした、なんか有ったのか?」


又兵衛は僕に再び視線を移すと、優しい表情で僕を見詰める。


「…うん、あのね…」


僕は又兵衛に昨日のなっちゃんとの事を話して聞かせた。


「はははは!」


又兵衛の声が広がる草原に高らかに響き渡る。


「ま…またべぇ」


僕は又兵衛の態度の真意が良く分からなかった。
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