遠目の子鬼
僕は数秒考えた。


「…え?」


「だから、好きだって、彼女に聞こえる様に言ったのかって聞いてるんだ」


そう、言ってない。少なくとも、なっちゃんは、僕が「好きだ」って言った事を聞いてない…筈だ。


「う、ん、多分聞いてない…と思う」


又兵衛の表情が急速に変わる。


満面の笑み。


僕は又兵衛の笑顔の意味が分からなかった。


「大丈夫だ保孝。おまえ、まだ彼女に告白してないんだよ。彼女は、とても頭が良い子だけど、所詮は中学生、経験値が足りなさすぎる、なんとなくそれと気がついて居るのかも知れないが、はっきり認識しては居ないだろ」
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