遠目の子鬼
それを達成するのは、ひたすら練習するしかない。


全体練習では兎に角集中。そして又兵衛との練習は、課題の徹底したおさらい。


そんな日々が続いていた。


「保孝、少し休んだらどうだ?」


又兵衛の声に、僕はしばらくの間、気付かなかったらしい。又兵衛は、腰に手をやって上目づかいに僕を見ていた。


僕は、それに気がつくと


「…え、あ、う、うん。そうだね。少し休んだ方が良いよね」


僕は自分で口走っている言葉が自分の物ではない気がしてちょっと驚いた。
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