遠目の子鬼
僕は、はっとして、ソファーで隣に座っているお姉ちゃんに視線を移した。


「まったく、いつものぼうっと病が酷くなってるんじゃないの?呼ばれたらちゃんと、返事しなさいよ」


ちょっと喧嘩腰のお姉ちゃんの勢いに押されて、僕は小さくなりながら、躊躇いがちに「…う、うん」と答えた。


「それとって」

お姉ちゃんが僕の横に置かれた雑誌を指差す。


僕は素直にそれを渡すと受け取ったお姉ちゃんは、それを、ぱらぱらとめくり出し目的のページを探しだすと、そこに視線を落とす。


「ねぇあんた…」


お姉ちゃんが雑誌に目をやりながら、呟く様に、僕に話しかける。


「え?」


不意に話しかけられた僕は、ちょっと間抜けな返事を返す。
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