遠目の子鬼
「要するに、人それぞれ。賞に選ばれなかったからって、落胆する事は無いぞ。これはあくまで、目安にしかならない。我々は、自分の出来る限りの演奏をすれば良いんだ」


僕は先生の言葉に、とても共感する事が出来た。


そうだ、僕達は一生懸命練習してきたし、出来る努力はしてきたつもりだ。


賞に残れなかったからって、恥じる事は何も無い、胸を張って学校に戻ろう。


「…まぁ、先生の言う事は分かるけど、やっぱり残念だなぁ、賞に残れなかったってのは」


僕の隣で英二がそう呟いた。


確かに努力を評価されなかった気がして、それだけはちょっと悔しいけど。


又、明日から頑張らないと。


今度は文化祭での演奏会が控えている。


今は、ちょっと悔しいって言う気持ちで良いと思う。


でも出来るだけ早くそれを切り替えて文化祭にのぞまなければいけない。


僕は、心の中で自分にそう言い聞かせていた。
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