遠目の子鬼
「うん、分かってるよ、頑張るよ」


僕は笑顔で又兵衛に答えた。又兵衛も笑顔を返して僕に答えてくれた。


でも…僕は胸にひっかかる事が有る。


それは、中学ももうすぐ卒業だと言う事だ。


文化祭が終われば三年生は事実上引退。


そこからは受験体制にまっしぐらに突き進む。


又兵衛とこうして練習する事も、もう少しで終わりだ。


「――あ、あのさ、又兵衛」


僕はちょっと暗い表情で又兵衛に話しかけた。


「ん?どうした」
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